2011年12月12日

北岡 桃子さん

 

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大学院工学研究院 応用化学部門
博士研究員(工学) 
 

 

理系に進んだのは、事象の本質は一つだとし、それを解明しようという部分に惹かれたからだと思います。農学部に入学後、様々な現象を化学反応で説明可能であることを講義で知り、その面白さから化学系の学科に進学することを決めました。
 修士を卒業後は企業に就職しましたが、医薬品・化粧品・食品分野においてからだに安全でかつ有効な技術を開発するには、化学だけでなく生物の、特に分子レベルでの生命現象についても知る必要があると考えるようになりました。その頃、大学時の先輩から九州大学の後藤雅宏教授が遺伝子の診断技術開発に関する研究で技術員を募集していることを聞き、より深く探求するチャンスだと思い転職を決意しました。これが後藤先生・神谷先生との出会いです。その後、同テーマで博士号を取得した現在も、後藤・神谷研究室にて学術研究員として勤務させていただいています。
 現在、神谷教授の研究プロジェクトのもとで行っている研究は、核酸と酵素というヘテロ分子の複合体を用いる遺伝子検出試薬の開発です。細胞中の遺伝子を検出することで、例えばがんの診断などを行うことができます。研究を行う意義は社会貢献だと考えていますが、今回、私たちのこれまでの研究成果をもとに、新たな検出試薬キットが共同研究企業にて商品化されました。今後、より簡易で正確な診断方法が開発され普及することは、社会全体のメリットに繋がると期待していることからも、非常に嬉しく思います。現在は、複合体を形成する酵素の活性向上などを通してさらなる高感度化へ向けた検討を行うとともに、核酸―酵素複合体の新たな利用法の開発にも着手しています。北岡さん2 .jpg
 仕事と育児の両立の面では、学内には子育てをしながらお仕事をされている教職員も少なからず居られることから、自分も困ったときにはいろいろ教えて頂いています。研究者を目指す学生の皆さん、迷っているなら是非前向きに考えてみてください。また、学内にも保育施設があり、環境的にも整ってきていると思います。ただ、一般的に育児には予定外のことが多く、例えば残業や学級閉鎖などで急に預かり先を探さないといけない場合、今はベビーシッターなどの確保は各人に任されています。このような作業は一つ一つが積み重なると負担となってきますので、今後は組織による代行などの支援も含め、予定外のことにも対応しやすい支援システムが作られていくことを期待します。
 改めて考えてみると様々な過程で悩んだことも多いですが、迷ったときには新しいことに取り組んでみると次の展開が見えてきました。今後も積極的に挑戦していきたいと思います。

 

ラベル: エッセイ

2011年12月12日

Female Course Student-Profile 7


江藤 真由美さん7.JPG

理学府化学専攻

 

出身地: 福岡県

趣味:映画鑑賞、ご当地キティ収集、 読書、お買い物
(大学を一歩出ると化学とは無縁のことばかりをしています。)

好きな言葉: おかえしを期待しない
(「みんなのたあ坊の菜根譚」という本の中の言葉はどれも好きです。)

 

 

 

現在の研究テーマ:ケイ素(Si)とアルミニウム(Al)の環境化学


研究キーワード: シリカ、ケイ酸、アルミニウム、 環境化学など

 

賞・業績など:
・日本分析化学会第60年会にて若手講演賞を受賞(2011/10/14 - 16 名古屋大学東山キャンパス)
・日本分析化学会奨励賞(2011年度)
・9th Keele Meeting on AluminiumにてBest Student Presentationを受賞(2011. 2月 カナダ)

 

理工系にすすんだきっかけ
 TV番組などで「長年・・・を研究している・・・博士は~」なんていう言葉を聞いてかっこいいな~と思ったという不真面目きわまりないことがきっかけです。他には、実験は本で読めないから興味がわいたのかもしれません。高校時代は数学ほど嫌悪感を抱くものはなく、世界史と漢文ほど得意なものはなくで、いまでもよく理系に進学したものだと思います。その当時は考えもしませんでしたが、手を動かして遊びたい!何かをしたい!という気持ちが理系に走らせた1つの要因ではと今では思っています。研究も私の中ではどこか遊び心を持ち続けられるものの1つです。もちろん中途半端に実験している訳ではないのですが・・・。ただ、どこか純粋な興味で動く部分があるから今まで研究してこられたのではと思います。

 

コース生としての経験

G-COEでは、九大内外の研究者に講義・シンポジウムの際にお会いします。幅広い分野の研究者と交流できるのがG-COEの最も特徴的な点です。普段研究室にいるだけでは経験できないことです。何事も経験と慣れということを実感しました。
 さらに、国際学会助成で4回ほど国際学会に行かせていただきました。有意義な経験でした。海外での発表の経験や研究者との意見交換は、貴重な体験です。研究に対する姿勢なども学ぶ点が多く、その環境に自分をおくことができたことは幸運でした。学生中に海外に積極的にいけることは非常に恵まれたことと考えています。

 

将来の夢
 就職に関して考え出す時期になりました。もちろん現在の研究の延長で職を得られれば良いのでしょうが、これ以外はダメ!というよりも、柔軟な姿勢で臨みたいと思っています。また、自分の周りにいる人々の行動や言動から吸収する姿勢を持ち続けていきたいです。どんなマニュアル本よりも価値があるものだと思うからです。逆に自分もいい意味で人から言動や行動を盗まれるような人間でありたいと思います。
 

ラベル: コース生紹介

2011年09月07日

インタービュー with 石田 玉青先生

石田先生1.JPG

 

 

大学院理学研究院 化学部門
准教授 博士(工学)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高専卒後、民間企業に就職し、大学で学び直すことを決意。
 「将来はこうしたい、こうなりたい」という具体的な望みは特になく、高校卒業後は就職しようと思っていました。ただ、「そのときに手に職を持っていたい」という思いがあって高等専門学校へ進みました。理系が得意というわけではなく、むしろ数学などは嫌いな方でした。化学を専攻しましたが、その理由は、化学は実験で色が変わるなどして面白そうだと思ったからです。高専卒業後は民間の会社に就職し、2年ほど勤めました。しかし高専卒では研究の自由度が低く、上を目指せる可能性も少ないなど大学卒と比べてかなり違いがあると感じ、大学に進んで化学の勉強をやり直すことにしました。

 

「自分の臭いのついた研究を」という恩師の言葉は、現在も研究の基本姿勢に。
 神戸大学の3年次に編入し、4年で有機系の研究室へ。大学院は京都大学に移り、博士課程修了まで高分子合成の中條先生の研究室にお世話になりました。ここで中條先生に「与えられたテーマであっても、自分の臭いの付いた研究を」「一つのことにとらわれず、フィールドをどんどん広げていかなくては」と教えられたことは、研究に対する姿勢のベースになりました。大学院卒業後、首都大学東京に移り、違う分野の研究に携わることになったときに、「新しいところで挑戦してみよう」と思えたのは中條先生に言われたことが心に残っていたからでした。

 

助教として首都大学東京の「春田研究室」へ。
触媒化学に分野をスライド。
 首都大学東京では春田先生の研究室で触媒化学、特に固体触媒の研究に携わりました。「有機化学よりの反応を、酸化物に金ナノ粒子を乗せて触媒の特性を見ていく」というような研究です。この時期は「どうすれば新しい触媒ができるか?新しい触媒を作ったら次はどんな反応を試すか?その次は?そのなかでオリジナリティを出せることは何か?」ということをいつも考えていて、そのテーマ探しが大変でした。
 そんなとき研究大好きという雰囲気の春田先生にはとても勇気づけられました。「何ごとにもポジティブに、研究は楽しく」と言われている気がしたのです。

 

本年2月から徳永先生の研究室へ。
徳永先生の専門分野・不斉合成にもチャレンジしたい。
 
 九州大学へは、春田先生と徳永先生が共同研究をされていた繋がりで、徳永先生から「九州大学に女性枠のプログラムがあるから応募してみたらどうか」というお話をいただき、今年(2011年)2月から先生の研究室に迎えていただくことになりました。
 新しい場所に来たのを機に、これまでハードルが高そうで敬遠していた、徳永先生の研究分野の不斉合成にもチャレンジしてみたいと思いますし、新しい化合物もやってみたいと思っています。
 「自分の色を出して、自分にしかできないことをやる」ためには、「もともとあったテーマから離れていくこと」も必要なのではないかと今は考えています。触媒化学の楽しさも分かってきましたので、新しい、画期的な反応が出せたらと思いますし、できれば工業化に結びつくようなものを目指しています。
 こちらに来て「未来分子システム科学」というプログラムについて知りました。研究において分野を横断することは意義のあることという以上に必要なことですし、それがシステムで実践されれば効果はより期待できるのではないでしょうか。私自身、研究分野を変えてきたことは結果的に良かったと思っています。

 

何かをやっていれば、道は開ける。
とりあえずやってみよう!
 私は、「とりあえずやってみる」をモットーにしています。「やりながら考え、駄目ならまた考える」というスタイルです。研究の世界に身を置くようになったことについても、「どうしてもこの世界でなければ駄目」と思ったわけではなく、修士課程の後は民間への就職を考えて就職活動もしました。けれども決心がつかず、その後ドクターへと進むにつれて実験、研究の楽しさが増し、また先生方にも恵まれて「気がつけばここにいる」ということで、その時々に、自分が納得できる道を選んできただけなのです。
 ですから、学生の皆さんも研究者になりたいとか、少しは自分に向いているかもしれないと思ったら、とりあえずやってみて、その都度軌道修正をしていけば良いのではいでしょうか。研究者といっても特別な存在ではなく、職業の一つの選択肢と考えれば良いと思うのです。
 何かをやっていれば道は開けるものです。そして、研究に失敗は付きものです。めげないノーテンキさをもって、細かいことを気にせずに、いろいろやってみましょう。

ラベル: インタビュー

2011年08月02日

Female Course Student- Profile 6

宋 雪旦(Xuedan Song)さん

宋写真.jpg理学府化学専攻

 

出身地:大連・中国

趣味:旅行

 

好きな言葉:Almost any situation - good or bad - is affected by the attitude we bring to.

 

現在の研究テーマ:プロトン性イオン液体中における酸塩基性の熱力学および液体構造

 

研究キーワード:イオン液体、反応熱力学、液体構造

 

○日本に来たきっかけ
中国での学部生時代の指導教員から日本での留学経験が私の将来のキャリアステップに役立つとアドバイスを受け、日本で博士号を取得することを決意しました。そして大学卒業後、指導教員からの推薦を受け、九州大学に来ました。

 

○理工系に進んだきっかけ
父が化学の教授でしたので、子供の頃から大学の研究室によく遊びに行きました。特に高校生頃から化学に興味を持ち始め、実験がおもしろく、化学をもっと学びたいと思うようになりました。そんな環境の中で、理系への進学にはまったく迷いはありませんでした。

 

○未来分子システム科学コース生としての経験
G-COEの海外武者修行プログラムに参加し、3週間アメリカに行ってSan Jose State Universityで語学研修を行いました。英会話やdebateなど、自分の考えをまとめて発表する機会や、発音の違いを認識する機会を与えてもらい、非常に有用な情報を得ました。自分の弱点や、不足点を認識できたことは大きな成果だと思います。また、その期間で、Stanford、UC Barkleyの研究室およびGoogle本社、IBMアルマデン研究所を訪問し、彼らが行っている最先端の研究を知ることができ、非常に良い経験になりました。

 

○将来の夢
環境問題は現在世界規模で緊急に解決しなければならないテーマであり、私の母国である中国でも近年力をいれて取り組まれるようになりました。工業排水による河川の汚染が急速に進んでおり、流域住民の健康被害が深刻になっています。例えば化学工場における有機溶媒の摂取による健康被害が顕著です。私の研究テーマであるイオン液体は、このような有機溶媒の欠点を克服できる溶媒として期待されています。イオン液体が未だ本格的に工業的な応用がなされていないのは、一つにはコストの問題もありますが、もう一つにはイオン液体中における反応メカニズムが理解されておらず、したがって既存の溶媒との置き換えに慎重にならざるを得ないためであると考えられます。そのため、イオン液体における反応熱力学や液体構造について研究を続け、環境やエネルギーなどの問題を解決したいと思います。そして、研究者として、社会に貢献することが自分に合うと思うと同時に、私の夢でもあります。また、自分は母国語以外に日本語及び英語を利用して研究情報を収集することができる特長を持っているため、日中だけでなく国際的な学際交流のために貢献したいと思っています。

 

ラベル: コース生紹介

2011年05月26日

インタービュー with 高橋 幸奈先生

 高橋 幸奈さん

1高橋.jpg大学院工学研究院応用化学部門
助教 博士(工学)

 

愛知県(岡崎市)出身。
東京大学大学院工学系研究科応用化学専攻にて2007年3月に博士(工学)学位を取得したのち、東京大学生産技術研究所特任助教を経て、2010年8月から九州大学工学研究院応用化学部門山田研究室助教(現職)。
専門は、光電気化学、光触媒、およびエネルギー変換。

 

「研究者」という職業があったのか!と中学校の頃、本を読んで知りました。

 小さい頃から本を読むのが好きで、童話から文学、科学など、何でも読んでいました。中学生くらいのとき、何冊か読んだ本で「研究者」という職業があることを知り、面白そう...と思いました。研究者の道を目指すようになったのは、そんなことがきっかけだったような気がします。理科が好きだったこともあります。お菓子とか、シャンプーとかの成分表示に、なぜかとても興味がありました。だからと言って理科の勉強が得意ということではなくて、高校での得意科目はむしろ国語でした。先生に、理系に進みたいと言ったらビックリされたくらいです...。

 

テーマは、エネルギーを貯める光触媒の開発。今に続く道を決定づけたのは、博士課程での経験です。
  愛知県岡崎市で生まれ育ち、岡崎高校から東大理科一類に入りました。化学部に入り、毎週実験をしていました。実験が好きでしたから。夏休みには、北海道で中学生対象の実験教室に指導員役として参加したりしました。3年で工学部応用化学を専攻し、4年からのゼミは「触媒」の研究室で無機化学を勉強しました。それはそれで楽しかったのですが、他のこともやってみたくて、修士課程からは東大生産技術研究所の立間研究室に入りました。
 そこで扱ったテーマは「光触媒」でした。太陽エネルギーを貯めるデバイスを作るために、「光触媒の酸化チタンに、どんなものを、どのように組み合せると、どのような効果が得られるか」を研究することでした。修士課程のときは「還元エネルギーを貯める」ことをやっていて、これは先輩たちも異なる材料で成功していることでしたから、比較的うまくいきました。
 しかし、博士課程に進み「酸化エネルギーを貯める」ことに取り組んだとき、壁に突き当たりました。1年くらいは、毎日毎日「実験しても結果が出ない」の繰り返しで、苦しみました。酸化チタンに組み合せる金属酸化物として、酸化ニッケルを使っていろいろ試していたのですが、どうしてもうまくいかないのです。
 ある日、酸化ニッケルを作るために、まずは水酸化ニッケルを作ってからそれを焼こうとしました。すると、途中で色が変わっているのに気がつきました。色の変化は酸化エネルギーの貯蔵を示唆していると考えられ、「もしかしたら、水酸化ニッケルの方がうまくいくのでは?」と閃きました。これがうまくいったのです。興奮でしょうか、背筋がぞくぞくするような、何とも言えない気分でした。これをずっとやっていきたいと思いました。

 

「うまくいく系が必ず見つかる」
先生の言葉に"勇気百倍"でした。
 素晴らしい経験ができたのは、立間先生のご指導のおかげです。小さな研究室で、先生が直接指導してくださいました。とても細やかに、どんなときもいやな顔をしないで。自分もそういうふうにできたらいいと思います。先生は「理想がないと研究はできない。初めから、これはできないだろうと思っている人は、決して実験はうまくいかない」とよく言われました。私が酸化エネルギーの貯蔵がうまくいかなくて悩んでいるときも、「うまくいく系がかならずある。きっと見つかる」と勇気を与えられました。博士課程終了後、そのまま生産技術研究所に就職し、特任助教として3年間「酸化チタンと金属ナノ粒子を組み合せた光電交換デバイスの開発」をテーマ取り組みしました。

 

現在は、山田研究室で
金ナノ粒子の"プラズモン共鳴"現象を利用しつつ
有機薄膜との組合せで太陽電池の開発を目指しています。
 九州大学の山田先生の研究室に移ったのは、2010年8月からです。ここでは、酸化チタンではなく、代わりに有機薄膜を使い、それと金ナノ粒子を組み合せた太陽電池の開発を目指していて、「金ナノ粒子はプラズモン共鳴を起こす」という現象を利用しつつ、異なる材料を組み合せて光電気化学的実験を進めています。私が今まで扱ってきたのは酸化チタン、水酸化ニッケルなど無機材料が多かったので、今後、有機、無機、ハイブリッドでやっていけたらいいのではないかと考えています。
 クリーンなエネルギーは今後ますます必要になります。そのために私たちは実用化、工業化に近いところでテーマを設定しています。今やっている有機薄膜の太陽電池なども、「柔軟性が高いのでロール紙のようにして運び、目的地で広げて使う」ということが可能です。まだまだこれからですが、頑張っていきたいと思います。

 

シンポジウムで、G-COEの意義を確認。若い皆さん、愛をもって研究に臨みましょう! 

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 昨年G-COEのシンポジウムに参加させていただきました。そこでは普段の学会では聞けない分野のお話が聞けてとても参考になりました。と同時に、私の話も他の分野の方々に聞いていただけて嬉しく思いました。研究も、教育も、異分野の融合はとても有意義だと思います。
 研究に「愛をもって臨むこと」を私は大切にしています。うまくいかないときが多いのですが、何ごとも挑戦することはなかなかうまくいかないものです。そういうときに愛をもって臨めば、諦めずに進むことができるのではないかと思っています。
 これから研究の道へと考えている学生さんたちへ。今までの勉強は答がありましたが、研究はそれとは全く違います。これまで勉強が得意だったからといって研究でうまくいくとはかぎりません。逆に言えば、勉強が苦手だった人が、研究に、実験に興味をもち、成功するチャンスは大いにあるのです。ですから、諦めないで!諦めたら、もったいないですよ。その先に、面白いことがたくさんあるのですから。

ラベル: インタビュー
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