日本型オープンイノベーションの取組み

我が国の高い技術力を高効率に市場価値に結び付けるには、従来のHow to do型のオープンイノベーションではなく、What to do型の新しい仕組みが必要です。2020年、工学研究院応用化学部門を中心とするグループは、公益財団法人九州先端科学技術研究所(ISIT)と協力し、真のイノベーションを創出するための基盤を提供する取組み『オープンサイエンスプラットフォーム:OSP)』を開始しました。

OSPは、今後最大のマーケットになると見込まれるヘルステック市場において、様々な企業の技術を価値に転換できる仕組みとしてスタートしましています。OSPは、イノベーション創出手法として認知されているデザイン思考法を用いながら、その問題点であるアイデアの確実性をデジタルトランスフォーメーション(DX)により担保する初めての試みです。大学・理研・企業のメンバーが、学生とともに解決課題を設定し、メディカルビッグデー タ(九州大学病院など)で関連する因子を探し出し、これを基に価値のアイデア創出、要素価値の研究をバックキャストで実施します。

OSPへの企業の参加メリットは、メディカルデータ解析により通常では発想できない因子(アイ デア)が見つかること、最終価値がそのデータで裏打ちされることで、研究の投資効率が格段に上がります。また、企業単体ではリスクが大きい研究課題の最初のステージも、OSPにより大学側が学生の学位研究として実施することでリスクを取ることなく、成果が見えた時点で共同研究へ移行して獲得できます。OSPではさまざまな分野の企業が参画いただけるように、九州大学と福岡市・九州先端科学技術 研究所で、ふくおか産学共創コンソーシアムを設立しました。九州大学病院及び関連施設のメディ カルビッグデータの提供、実証研究のための福岡市、糸島市との連携も確保しており、研究に伴う九州大学の広い分野の研究者の知見と研究設備の利用も可能となっています。

2021度からは、新たに株式会社トライアルホールディングスの持つ購買データも活用できることとなり、本格始動となりました。現在OSPには9社の企業と福岡市などが会員となっています。今後、さらに会員を拡大しイノベーションの輪を広げていきます。
 
 
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