九州大学大学院工学府 物質創造工学専攻 生体機能化学講座 分子システム化学 君塚研究室
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1.はじめに   分子システム化学の創成を目指して

 


Figure 2 分子の自己組織化は熱力学的平衡近傍におけるエネルギー極小構造の形成である(Static Self-assembly

 

国武豊喜教授らによる合成二分子膜に関する研究は、化学の分野に“自己組織化”の概念を導入した先駆的成果であり、1,2) 現在まで全世界的に、分子の自己集合や超分子化学に関する研究が続けられています。

1)   T. Kunitake, Y. Okahata, J. Am. Chem. Soc., 1977, 99, 3860-3861.

2)    T. Kunitake, Angew. Chem. Int. Ed., 1992, 31, 709-726.

これら分子の自己組織化は、エネルギー的に最安定の構造が溶液(水または有機溶媒)中において自発的に形成されるもので、脂質による二分子膜形成の他、DNA二重らせんの形成、蛋白質の自己集合をはじめ、合成・生体系を問わず多くの分子組織化現象が知られています。これらの分子組織系は、溶液中において安定に分散するために両親媒的な高次構造を与えており、媒体も含めた自己組織化現象であることが理解できます。一方、エネルギー最小の高次構造が自発的にできるという観点から、配位子と金属イオンから形成されるMOFMetal Organic Framework)などの固体材料も自己組織化の概念で説明されています。

私たちは、このような分子による自己組織化現象を基盤とする、新しい分子システム科学の学理創成に取り組んでいます。分子システムを、有用な仕事(働き)を行なうことのできる分子群と捉え①分子の自己組織化と有用な仕事を生み出す物理・化学的現象を時間的ならびに空間的に共役組織化させ、さらに②指向性(ベクトル性)のあるプロセスを実現することによって、単なる自己組織化現象を超え、分子組織系ならではの働き(仕事)を実現する新しいしくみを創り、「分子システム科学」として展開することが目標です。

この、分子システム構築における学理ならびにその応用展開をはかる“分子システム科学”の創成は、当研究室における総ての研究テーマにおいて常に意識されています。

 

 

Figure 3 分子組織化学から分子システム科学へ

“From Molecular Self-assembly to Molecular Systems Science”